僕の友達 2

もう1ヶ月近く前になってしまったけれど、学生時代の友達T君が仕事で来札した。

宮崎県出身のT君。初めて出会った時は無口な男かと思っていたが、訛りを隠していたらしい。自称「田舎」出身のT君。故郷を離れ、新しい暮らしにかなり期待していたのだが、これから暮らすことになる街もなかなかの田舎だったことにかなり落胆していたのを後になって聞いた。

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前回ブログで書かせてもらった友人K君と僕と共に同じ部活、同じバンドに所属し、濃い時間を共に過ごさせてもらった1人。

VW GOLFに憧れていたT君はバイトも頑張った。深夜のガソリンスタンドのバイトは割が良く、当時18歳の僕達にとって一晩で1万円ちょっとを稼げるなんて夢のような話。僕も便乗させてもらったが、昼夜逆転の暮らしにすぐに参ってしまい、僕はその後バイトを転々とした。
T君は頑張り続けてお金を貯めたが、今も昔もGOLFは人気があって安くはない。そのとき僕が「JETTAは?」と言ってしまったのを今も本当に申し訳なく思っているのだけど、T君はJETTAの格好良さに惚れてしまい、買ってしまう。

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そのJETTAが本当によく故障した。遠征先でコンビニ休憩をし、出発しようとするとエンジンがかからなくなってしまい、やがてバッテリーがあがってしまう。普段からファンベルトがキュルキュルと物凄い音を立てて走ってくるので、T君が来るとすぐにわかった。下り坂でフロントタイヤがバーストしたこともあったが、これはJETTAは悪くないか・・・。
T君にJETTAを買わせてしまった僕が今になってBORAに乗っているのもおかしな話だけど、東京暮らしのT君は今現在、車こそ諦めたもののHONDAのシルクロードに乗っているらしい。確かにシルクロードは格好いい。でも僕より重症だと思う。

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狸小路でT君のデカい掌と6年振りに握手をした。ひとまず立呑み屋さんでT君待望のサッポロクラシックで乾杯。車とバイクは古いのが好みのT君だが、出張の残務処理はLINEで済ませている。18年前、宮崎と北海道の若者2人が原宿を彷徨い、電柱の陰でコッソリとSmartマガジンを開いてお目当てのショップを探していたことを思うと、近年の情報通信の発達は本当にすごい。憧れの東京暮らしを満喫中のT君はその辺に明るいし、仕事もどうやらその辺の業界が長いらしく、なんだか格好良い。
数々の職場を経てたどり着いた現在の仕事は、大好きな音楽にも関わることができる職場だそうで、今まで聞いていた仕事の話のなかで一番楽しそうに話してくれた。今回の札幌出張も収穫があったみたいだった。

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3軒目はタヌキスクエアという一角にある良いお店だった。
河岸を変える途中でセイコーマートに寄って富良野ビンテージを買って手渡す。重たくて申し訳ないけれど。
ウイスキーソーダを呑みながらT君が「あのとき洋介に出会わなかったら、オレ仮面浪人でもして学校辞めてたかもしれん・・・」と煙草を燻らせながらつぶやいた。将来のビジョンなど全く持たずに北海道から出てきた僕にたまたま引っかかってしまったT君だけれど、18年経った今、そんな想いを口にしてくれて本当に嬉しかった。

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T君が就職浪人中で僕がフリーター時代、いつものように霧島を呑んでT君の部屋で布団を借りて横になったとき、「こんな暮らしから早く抜け出してぇ・・・」と漏らしたのを思い出した。懐かしい話は良いけれど、あんな無責任な自分たちには絶対に戻りたくない。人気の無くなった狸小路のはずれで、もういちどデカい掌と握手をして別れた。

「今」の方が良いに決まっている。それがなんとなく合言葉のように思えた。

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コメント

  1. M.F.工房 より:

    洋ちゃん、写真いいよ!

    • 前田洋介 より:

      M.F.工房店長
      見たように撮るというのは本当に難しいですね。
      今度空港行ってみます。もう雪でダメですかね・・・。

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